2007年8月11日土曜日

北京五輪まで1年、不安は食の安全と大気汚染

北京の環境は相当ひどそうですね。世界のスポーツの祭典がこんな状態で行なわれるのは、北京市、中国としても恥でしょう。心ある方々、頑張ってください!

(Asahi.comより引用)

 北京五輪開幕まであと1年。華やかな1年前イベントの陰で、大会への不安はぬぐい切れない。中国産食品の安全性に関しては大会組織委員会が万全の対策をアピールするが、日本側は独自に調査団を派遣することになった。大気汚染問題については「屋外競技の選手がかわいそう」との声がしきりだ。

■JOC、水持参も検討

 北京市で7月下旬、組織委や中国各界の幹部約1600人が集まって五輪に向けた決意を発表し合う「開催1年前の誓いの大会」が開かれた。組織委の劉淇会長は「食品の安全を保証し、一切の危険を根絶しなければならない」と声を上げた。

 中国産食品への不安が急速に広がっている。各国の選手団関係者からは「本当に大丈夫なのか」との疑問が相次ぐ。

 日本選手団は、82年にインドのニューデリーで開かれたアジア大会に、選手たちが使う飲料水を持ち込んだことがある。現地の水が飲料に適さないと知らされていたからだ。細心の注意を払ったが、シャワーや歯磨きの水で下痢を起こした選手がいたという。

 北京五輪日本選手団の福田富昭団長(日本オリンピック委員会=JOC=選手強化本部長)は「中国のペットボトルの水に問題があると伝えられてもいる。今回も日本から水を持っていくことを考えないといけないかもしれない」と話す。

 国立スポーツ科学センター(東京都北区)はJOCの依頼を受け、栄養士2人を9日から北京に派遣する。選手村周辺のスーパーやレストランなどをまわり、現地で手に入るものの衛生状態などを調査する予定だ。

 不安をぬぐい去るため組織委は大会中、無線ICタグや全地球測位システム(GPS)を使い、選手村で提供する食品は生産地から食卓まで、すべての流通過程を監視すると明らかにした。地元紙によると、五輪時に食材を提供する48の農場に約250人の監督員を派遣し、抜き打ち検査などでも監視する。

 市内の飲食店では、市がAからDまでの4段階で認定する衛生度で、最低のDランクの飲食店を五輪関連施設から1キロ以内は撤去するのをはじめ、繁華街や主要道路沿い、観光地から年内に一掃することにしている。

 それでもJOCの竹田恒和会長は「選手村の外では食べないように徹底させたい」。当の組織委内には「国外メディアが騒ぎすぎ。中国たたきではないか」と被害者意識を見せる幹部もいる。

■IOC、屋外競技を延期も

 8日に開幕したホッケーの五輪テスト大会。開幕戦で0―3で中国に敗れたアルゼンチンの女子選手たちは、顔を真っ赤にしながら肩で息をしていた。ミナデオ監督は「暑さに加え空気が悪い。選手たちは深く息を吸い込むと息苦しくなったようだ」と話した。

 北京はスモッグで街が白くかすむ日が少なくない。

 北京市当局はこの10年で1200億元(約1兆9000億円)を投じて環境改善に努めてきた。汚染源となる製鉄所を移転させ、厳しくした排ガス規制に適合するようタクシー5万台、バス3000台を処分した。テスト大会期間中の今月下旬には市内の総車両の約6割にあたる130万台の使用を制限し、空気がきれいになるかどうか試すことにしている。

 しかし、国際オリンピック委員会(IOC)や各国の関係者が満足するレベルには達していない。北京市環境保護局発行の06年環境状況公報によると「黄砂や、風が穏やかで空気が動きづらい条件が影響して」大気を汚す浮遊粒子状物質は前年比で13.4%増えた。

 IOCのロゲ会長は8日、米CNNテレビに、状況によっては期間中の屋外競技を延期する可能性を示した。北京五輪では屋外競技の世界記録樹立は望めない、との声も上がり始めた。

 参加する各国・地域には選手への影響を最小限にしようと、北京滞在を短くしようとする動きがある。AFP通信などによると豪州オリンピック委員会はぎりぎりまでアジアの別の場所で練習するよう選手たちにアドバイスしている。

 JOCは気象予報士を北京に派遣して、大気の状況を調査する。日本の福田団長は「いっそのこと慣れた方がいいのか。対策を取れる練習方法として何かあるのだろうか」と思案顔。

韓国オリンピック委員会の関係者は「屋外競技の選手はかわいそうにすら思える」と嘆いた。